▼ ウエス・モンゴメリーの親指ピッキング
ウエス・モンゴメリーは、ピックを使わない理由として「音色が好きだから…」と言っています。まろやかで温かく、しかも太い音は親指ピッキングから来るもので、ピックと親指ではずいぶん音色が違います。
名盤「Full House」のジャケットにはウエスの右手がアップで移っていますネ。右手の小指をピックガードの留め金にひっかっけ、人・中・薬指はボディに軽く触れています。
基本はダウン・ストロークなのですが、速いパッセージではアップ・ストロークも使い、さらにハンマリングやプリング・オフも交えて表情豊かに歌いあげています。
▼ ウエスの典型的な3段階ソロパターン
シングル・ノート → オクターブ奏法 → コードソロ
ウエスの音楽的ルーツはビ・バップです。ビ・バップの特徴である、ⅡⅤ(トゥ・ファイブ)とディミニッシュを人一倍使いこなしています。
まず大きな特徴として、ウエスは7thコードをⅡⅤとして捉えることが多いということ。トニック7thコードやドミナント7thコードで裏コードのⅡⅤをよく使っています。
譜面は読めなかったウエスですが、コードの解釈にかなり長けていたようです。
もう1つの大きな特徴として、ディミニッシュ・コードを経過的に使ったり代理コードとして用いていること。コードソロではディミニッシュを多用し、メロディを美しく歌います。
パット・メセニーはウエスの演奏についてこのように語っています。「ウエスについて最も多く語られるのは、彼のオクターヴ奏法であったり、親指を使った弾き方だったり、抜群のリズム感だったりする。でも、僕にとって、ウエスが一番素晴らしいと思えるのは、メロディを展開していく上での驚くべき技術であって、それが彼を他の多くのギタリストのみならず、インプロヴァイザーと区別する一線なんだ。ウエスは必ず1つのアイデアを提示したら、その後に続くフレーズによって、それを可能な限りもって行き、そこで結論をみつけようとする。」
▼ ウエスのギター・弦・アンプについて
ギターはギブソンのL5です。以前は他のギターを使っていたことがあるようですが、全盛期以降はL5です。
弦の太さは、1弦が014から始まるものを使っていたようです。親指で弾く場合、これくらい太くないとかえって弾きにくくなります。
アンプはFenderだと思っている人もいますが、1965年前後ではスタン・デールというアンプもかなり使っていたようです。
エフェクターは使わず、アンプとギターを直結。親指で弾く場合のアンプのセッティングですが、親指で弾くと通常よりも低域寄りのサウンドになるので、低域は下げ気味にします。逆に、高域は上げ気味にしてもあまりギンギンしたサウンドにはなりにくいでしょう。
▼ ウエス・モンゴメリー名盤
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