これまでメジャースケールとナチュラルマイナースケールを練習してきましたね。
ナチュラルマイナースケールは、メジャースケールの第6音から始まるスケールなので、単独で覚える必要がなかったよね。
CメジャースケールとAナチュラルマイナースケールの構成音はまったく同じ。Cメジャースケールのポジションを覚えておけば、Aナチュラルマイナースケールも自動的に弾けてしまいます。
それでは、次にハーモニック・マイナースケール( Harmonic Minor Scale )にチャレンジしてみましょう!
このスケールは日本語で、「 和声的短音階 」といいます。
「 短音階 」とは、マイナースケールのことですが、その前についている「 和声的 」とはいったい何なんでしょうか?
今回はその辺のことまでお話します。ハーモニック・マイナースケールを頭で理解しておけば、このスケールもさほど難しくはありません。
▼ ハーモニックマイナースケールとは?
Aハーモニックマイナースケールの構成音は、
ラ・シ・ド・レ・ミ・ファ・ソ♯
です。
ソが♯(シャープ)してるよね。
つまり、Aハーモニックマイナースケールは、Aナチュラルマイナースケールの7番目の音を半音上げれば簡単に導けるんですね♪
まっ、これは結果論でしかありません。
大切なのは、「なぜナチュラルマイナースケールの7番目の音を半音上げたか?」ということです。
どうやら、これが「 和声的 」の意味を解き明かすと鍵となるようです(ニヤリ)
▼ 和声的とは?
マイナーキーの曲の場合、基本的に、その曲全体にわたって使えるスケールはナチュラルマイナースケールです。なので、曲で使用するコードは、ナチュラルマイナースケールから派生するコード(=ダイアトニック・コード)が基本となります。
では、Aナチュラルマイナースケールのダイアトニック・コードを全て書き出してみましょうか。
コード | コードトーン |
---|---|
Am7 (Ⅰm7) | ラ・ド・ミ・ソ |
Bm7(♭5) (Ⅱm7(♭5)) | シ・レ・ファ・ラ |
CMaj7 (ⅢMaj7) | ド・ミ・ソ・シ |
Dm7 (Ⅳm7) | レ・ファ・ラ・ド |
注目!→ Em7 (Ⅴm7) | ミ・ソ・シ・レ |
FMaj7 (ⅥMaj7) | ファ・ラ・ド・ミ |
G7 (Ⅶ7) | ソ・シ・レ・ファ |
この表を見ると・・・なんとっ!
ドミナント7thコード(Ⅴ7)がないではありませんか!
Ⅴ7ではなくて、Ⅴm7(Em7)になってるよね?
そもそも、Ⅴ7は不安定なハーモニーを持っていて、不安定さゆえに安定しているトニック(Ⅰ)へ進行したがる性格をもっていました。この進行のことを、ドミナント・モーションと呼びます。
Ⅴ7 → Ⅰ …ドミナント・モーション
ドミナント・モーションのおかで、トニック(Ⅰ)への終止感が強まり、曲の調性が明確になっていたんですが、ナチュラルマイナースケールから派生するダイアトニック・コードには、Ⅴ7がありません!
Ⅴm7 → Ⅰ という進行では、トニックへの終止感が弱くなってしまいます。
これじゃいかん!Ⅴm7をⅤ7に変えて、トニックへの終止感を強めたい。
どうすればⅤm7をⅤ7に変えられると思う?
そうですね♪
Ⅴm7の短3度(ソ)を半音上げて長3度(ソ♯)にすればいいよね♪
これが、7番目の音を半音上げた理由です。
要するに、「ドミナント7thコードがない」という和声的な不備を解消した「 短音階(マイナースケール) 」なので、和声的短音階(=ハーモニックマイナースケール)と命名されたんです。
お分かりいただけましたでしょうか?
はい、お疲れさまでした。
なぜ和声的短音階というのか、また、ハーモニックマイナースケールを導くにはどうすればいいか、お分かりいただけましたか?
それでは次回、ハーモニックマイナースケールを弾いてみましょう!
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